「子どもにしてほしいことが伝わらず、つい声を荒げてしまった……」
「夫(妻)に何度も同じことを言っているのに、全然伝わらない……」
このように感じた経験はありませんか?私はたくさんあります。
自分のしてほしいことが相手に伝わらないとストレスになるだけでなく、
- 「どうしてあんなことを言ったんだろう?」
- 「○○なんて言わなければ良かった……」
と後悔してしまうこともあります。
子どもとのコミュニケーションだけでなく、夫婦関係や職場でも同じことがいえます。
相手に自分の気持ちを伝えるにはどうしたら良いのでしょうか?
今日はシンプルで有効な方法である「アイ・メッセージ」についてお伝えしたいと思います。
アイ・メッセージとは?

アイ・メッセージとは、「相手のしたことに対して、”私”がどう感じるのか」を伝えることです。
例えば子どもに対して言うなら、「(子どもの名前)が○○して、”私”は悲しい」といった形です。
自分の気持ちだけを表現していて、受け止め方は相手に委ねていることが特徴です。
アイ・メッセージに対して、普段、私たちが使いがちなのはユー・メッセージです。
ユー・メッセージとは、「あなた」を主語にするメッセージです。例えば、子どもに「どうして○○してくれないの!?」と言うようなことです。




ユー・メッセージは受け取る相手からすれば、「○○しなさい」と命令されているのと同じです。
人間はもともと、命令されるのが大嫌いです。どんな表現であっても、ユー・メッセージは相手が抵抗感を感じやすくなります。
これに対してアイ・メッセージは自分が感じたことを率直に相手に伝えることができます。
相手を責めているわけでもないです。
相手も言葉を受け取りやすくなりますし、「どんな気持ちになっているのか」を感じ取ることができます。
特に子どもはお父さん、お母さんを悲しませることはしたくないですから、アイ・メッセージで気持ちを伝えると自然と動いてくれるようになります。
アイ・メッセージは自分の気持ちを明確にする効果もある
アイ・メッセージのメリットは相手に気持ちが伝わりやすくなるだけではありません。
アイ・メッセージを使うと「自分がどう感じているのか・どう考えているのか」を明確に知ることができます。




特にアサーションにおいては、自分の気持ちを明確にすることがとても重要です。
なぜなら、「自分がどう感じているか」をありのまま受け入れることがコミュニケーションの出発点だからです。




アサーションとは、「”自分も相手も大切にする”表現方法」です。
自分の言いたいことをちゃんと言い、相手の言うことも受け止めるコミュニケーションの仕方です。
「自分がどう感じているのか」に気づかないと、相手に気持ちを伝えられません。
また、「自分がどう感じているのか」を明確にしないままコミュニケーションを続けると、それがほころびとなって人間関係が壊れる原因になったりします。
アイ・メッセージは「私は悲しい」「私は怒っている」といった気持ちが明確になります。
子どもが自分を客観視するのは難しい
ユー・メッセージの他にも、子どもへの声かけでやりがちなのは「○○されたらどう思う?」と聞くことです。
しかし、この声かけに効果があるのは子どもが中学校に入ってからです。
自分を客観的に見えるようになるのは、およそ小学校高学年からだといわれています。
小学生や未就学児に客観的な視点を求めるのは非常に困難なのです。
小学校までの間はアイ・メッセージを使って、子どもに親の気持ちを伝えていくのが良いです。
おわりに
今回は「アイ・メッセージ」について、特に親子のコミュニケーションの視点から書きました。
子どもが自分の言うことをなかなか聞いてくれないと、イライラしてしまいますよね。
しかし、子どもだってパパやママを困らせようとはしていません。ただ少しだけ、気持ちが伝わっていないだけなのです。
職場や夫婦関係のコミュニケーションも同じです。相手の気持ちに気づくことができると、私たちの捉え方はずっと違うものになります。
私は『マンガでやさしくわかるアサーション』を読んでアイ・メッセージを知りました。
その後、子育てやビジネスなど、多くの本に同じことが書かれていることに気がつきました。
それだけ、アイ・メッセージは幅広く有効な方法です。
アイ・メッセージを活用することで、あなたのコミュニケーションが円滑になって、心が軽くなったら嬉しく思います。